Living Loving Leuven

溜池や ナマズ飛び込む 水の音

日常復帰とワクチンの3回目接種

 またもや更新が1ヶ月あいてしまいました! 12月のはじめからパートナーがこちらにきていて、年末年始は太陽を求めてスペインのマヨルカ島で過ごし、とても元気になりました。そして、パートナーが昨日、帰国してしまったので日常に復帰です。ホリデー、楽しかったなあ……。その思い出を抱いて、今年も新年からがんばります。
 昨日はさっそく研究チームのミーティングあって、6月にある国際学会での共同報告の打ち合わせをしました。イタリアで開催予定ですが、問題なくできればいいなあと祈る気持ちです。もうこの学会は2年も延期をしていて、スタッフもくたくたになっているので、どうにかできますように!
 ベルギーの感染状況はギリギリセーフ、なんでしょうか。もはや、どれくらいの感染者数や市内の状況なら安全なのかもよくわからなくなってきました。身近な人たちの感染報告も耳にするようになり、日常の中にCovid19は定着しつつあるのかなあと思います。
 私も今日、3回目のワクチンを接種しました。今のところ変わりないですが、前回までがファイザーだったのに対して、今回はモデルナです。この混合の接種が抗体が強くなるそうで、ありがたくはあるんですが、副反応も強めだとか……昨日接種した同世代の友人は、「完全に倒れちゃってる」とメッセージを送ってきました。接種者がかたまっていたのか、今日のこちらの大学のオンラインゼミも欠席が相次いで中止。接種するときに「今日、明日はしんどいと思うし、腕が腫れたりするかもしれないけど、心配はないですよ」とアドバイスをもらいました。あんまりひどい反応でないといいのですが……。パラセタモールも追加で買ったし、準備は万端です。

論文投稿

 とりあえず、新しい英語論文を編集者に送りました、これから、長い長いレビューのプロセスが始まります。どうか出版までこぎつけますように! いつも祈る気持ちでいます。
 日本の入国禁止で、留学生が悲鳴をあげているという話も見て、ぎゅっと胸が痛くなりました。私自身、ベルギーへの渡航はコロナ渦の影響もあって、半年、遅らせることになりました。私の場合は、ほかに事務的な問題もあったのですが、「行けないかもしれない」と思った時のあの体から力が抜ける感じ言葉になかなかなりません。
 また、ほかにもオーストラリアへの渡航も予定していたのですが、出発の2日前に国境封鎖のニュースが飛び込んできて、中止せざるをえませんでした。そのときは、とにかく呆然としました。すぐにチケットの手配をお願いした旅行会社の人に連絡したんですが、スタッフさんも「これからどうなるんでしょうね」と本音を漏らして、二人で笑ってしまいました。もう、その会社の店舗は経営縮小で閉鎖になりました。
 もう、何人の研究者から在外研究の中止や、留学生の受け入れ停止の困難について聞いたかわかりません。本当にこの状況は早く好転してほしいですね……

日本での入国規制強化

 変異株の危険を鑑みて、日本への外国人への入国が禁止されてしまいました。これは予想外に早い対応で、首相からも、ワクチン接種の時期から考えて日本での感染防御はまだ有効だと予想されるが、情報がまだほとんどないので、一時的に強化して今後の対策を決めるのとのこと。未知の変異株への対応なので、今回の措置は妥当かもしれないと思います。
 現在、話題になっているオミクロン株の発生は、去年のアルファ株の発生を嫌でも思い出させます。私はちょうど去年のこの時期、英国にいました。ちょうどこの11月末に科学者の間ではアルファ株が問題になり始めていましたが、英国首相は経済活動を優先してロックダウンの決断を遅らせました。その結果、凄まじい感染爆発が起き、惨状がおきました。その後、完全に国境が閉じられてしまいます。私は国境封鎖の1週間前に帰国しており、ギリギリのタイミングでした。友人たちも、「どこの空港なら飛行機がとんでいるのか」をチェックして、バスや鉄道をスマホで検索して即押さえて、パッキングをして、と大変な状況だったのを、今でもはっきりと覚えています。
 そういうわけで、変異株の脅威は心配しても、しすぎることはないと私は思っています。他方、国籍の有無によって国境を越えられるかどうかが決まるというのは、いいことではありません。特に、パンデミック以降、はっきりとゼノフォビア(外国人嫌悪)が強まっているように感じています。それはヨーロッパでも同じことのようで、知人から、ベルギーで暮らしている中で、外国人差別にあたる発言を受けたエピソードを、直接聞きました。国の「外部」に敵を定めて脅威とすることは、危険でもあります。
 最近、私が少しずつ肌身でわかってきたことは、欧州内の格差の問題です。ベルギー、フランス、ドイツなどはやはり上位の国で、南欧は劣位に置かれています。もちろん、東欧もそうです。さらに、ほぼ地中海の国々と隣接して、似たような文化を持っているバルカン半島の人たちは、EU外ということではっきりと差をつけた扱いを受けます。そして、今回のパンデミックで、こうした地域格差は、直接的な差別や攻撃にならなくても、チクチクとした迂遠な表現で深まっていきます。もちろん、ロックダウンなどで精神的にきつくなればなるほど、そういうものが表面化します。
 それに、私もそういう話が耳に入ってくるようになったのでしょう。秋くらいまでは、とにかくこちらでの暮らしに慣れるのに必死だったし、あまりそういうものにセンシティブになる余裕はありませんでした。(知らぬが仏の楽しい時期でもありました)やっと、海外生活の二段階目に入ったのかなあと思います。こちらで在住の長い人に聞いていると、3年目くらいはだいたい新しいことが起き続けて刺激がいっぱいとのことなので、しばらくこのセカンドステージのチクチクした感じもよく味わいたいです。
 そんなロックダウンが遠ざかっていた頃に、ブリュッセルでランチした話を記事にしました。なぜか最後はカレーの話です。
namazu-2021.hatenablog.com

規制は厳しくなりきらず、されど……

 ベルギーは、感染者数が増え続けているので規制が厳しくなることになりました。とはいうものの、ロックダウンというほどではなく、ナイトクラブなどの閉鎖や、大規模なパーティーの禁止、飲食業が23時までといった小規模な措置でした。クリスマスマーケットも衛生パスなどを導入しながら規模を縮小する方向ですが、中止にはならないようです。
 ベルギーでも、ほっとしたという人が多そうです。ただ、このまま急激な増加が続けば早期にもっと厳しい規制に移る可能性も十分にあります。良くも悪くも、みんなもうこの生活に慣れてきているらしく、滑り込みで買い物に行ったり、最後のチャンスとして遊びに行ったりする人も多そうです。
 私も、今週は友人と海に遊びに行きました。
namazu-2021.hatenablog.com
 来週は、ナミュールまで足を伸ばしてクリスマスマーケットを覗こうかと思っています。さて、ここから先、どうなるのか……
 気温は下がり続け、朝晩もどんどん日が短くなるので、仕事にはあまり身が入らないのも正直なところ。ほんとならもうクリスマスホリデーの陽気に浮かれて、楽しく過ごせばいいのでしょうが、今年はみんな「様子見」の雰囲気です。
 私も来月の半ばにはパートナーがこちらにくるので、いろいろ楽しい予定もあるのですが、あちこちのニュースを見ながらため息ついて過ごしています。
 もっと気楽だった頃の、地元のお祭りに行った記事も書きました。もうこの頃が懐かしいくらいです!
namazu-2021.hatenablog.com

 

みたび、オーステンド(Oostend)の海岸

 友人Aとオーステンドの海へ! ジェームス・アンソールの愛した冬の海を見るために、一度は行こうと思ってたんですが、あまりの寒さに腰が重くなり、「どうしようかな」と迷っていました。Aも、海辺の街で育ったため、そろそろビーチが恋しいとぼやいていたので、誘ってみたところ二つ返事で日帰り旅行にいくことになりました。天気予報はあいにくの雨で、気温はマイナスだと知らせていたのですが、当日になって幸運なことに朝は晴れていました。
 美しい海辺を二人で歩きました。春、夏、ときて晩秋。三度目のオーステンドの海はとても美しかったです。
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 私はこういう海岸にできた天然の線画がとても好きです。
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 Aは海辺の民なので、貝を拾い始めました。高確率で私の友人たちは貝を拾います。私はあんまり貝を見つけるのがうまくないのですが、いくつか好きなのを見つけたので並べました。
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 ランチはベルギー名物ムール・フリットを。蒸したムール貝とフライドポテトのセットです。冬になったらカニをたべるごとく、貝を食べる。Aと「貝を食べるときは無言になるよね」と笑いました。
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 とってもいいお店でした。観光客向けだとは思うんですが、オフシーズンの冬ということもあって店内はゆったりしているし、スタッフはみんな親切でフレンドリーでした。なにより、あったかいガラスに覆われた温室型のテラスで、海を見ながらおしゃべりできます。スペインの料理人さんのようで、Aいわくサングリアが自家製で本物でとても美味しかったと。私の頼んだカヴァも美味しいし量もたっぷりだしよかったです。
 Aが隣の土産物屋が見たいというので覗いてみました。目を止めて、なぜかわからんけどものすごくいいと思ってしまって、アグレッシブなカモメのポストカードホルダーを買ってしまいました。酔ってたから?
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 午後からはオーステンドの現代美術館Mu.Zeeへ。小さな町の美術館だけど、展示スペースが広くてとても全部観るのは無理でした。二人ともまだまだほろ酔いでいい気分だったし、18-20世紀のフロアをまわって、アンソール(Ensor)とスピルアート(Spilliaert)を見ました。私はスピリアートは初めてちゃんと見ましたが、とても好きな画家になりました。ミュージアムショップで二人についての冊子がなんと5ユーロであったので、いそいそ購入。
www.muzee.be
 帰り道はすっかり暗くなっていました。とても楽しい週末でした。
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 ちなみに、春と夏のオーステンドはこちらの記事。
namazu-2021.hatenablog.com
namazu-2021.hatenablog.com

どこのお酒が好き?

 今年のルーヴェンのクリスマスマーケットは残念ながら感染防止のため中止だそうです。おそらくこの調子だと、どこも開催は難しそう。それでもイルミネーションの雰囲気は華やかです。
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 先週、友人Aといったナチ関連の博物館見学の記事を追加しました。
namazu-2021.hatenablog.com
 やっぱり展示はしんどいものが多くて、そのあとだいぶん議論をしました。で、帰り道なのですが小さな町でバスを1時間を待つことになってしまいました。寒かったのでふらっと入ったお店で、ポルト酒を飲みました。
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 Aはポルトガル出身で、ポルト酒についていろいろと教えてくれます。甘くて美味しいので大盛り上がり。クリスマスの休暇明けは、彼女はもっと良いポルト、私は日本酒を持ち寄って、飲み比べパーティーを企画しています! そして、昨日は、こっそり研究室でマデラ酒を味見させてもらいました。すっかり飲み友達ができて楽しい限りです。
 最近、ルーヴェンで見つけたは、ジンの専門店。実はベルギーのハッセルトはジンの名産地。でも、このお店はもっと新しいブランドなども積極的に紹介しています。
www.angelsshare.be
 私はこのジンを買いました。瓶が美しすぎて……口に含んだ瞬間はとても辛いんですが、そのあと、ふわっとお花の香りが広がります。これは良いです。
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 海外文学では、冬場にウォッカやジン、グラッパなどの強い酒を飲む場面がありますが、よくわかりました。この薄暗く寒いシーズンには、蒸留酒が似合います。
 そして、こちらはノンアルコール。若い世代はどんどん飲まなくなっています。そのおかげで、飲み物の幅が広がるのはいいなあと思っています。
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近況など

 なんと一ヶ月半ぶりの更新に。ブリュッセルに行ったり、バルセロナに行ったり、胃腸炎で倒れたり、ナチ関連の博物館に行ったり、いろいろあったのですが……論文の原稿を書き始めると、そのためにものすごくエネルギーを使うので、日常的なことを書く気力がなくなってしまいます。せっかくだし、ここでの記録はつけておきたいのですが、なかなか時間のやりくりは難しいものです。ぼちぼち、過去に遡ってせめて写真くらいは貼っていきたいです。
 そして、ベルギーは、現在、ロックダウンするかどうかの瀬戸際です。感染者数は上がり続け、オランダやオーストリアはロックダウンに入っています。ベルギーは、衛生パス(ワクチンパス)の導入で経済活動を維持しようとしていましたが、もう危険な状況に入ってしまいました。コロナは手強いですね、
 衛生パスへの批判も強まっており、一部の抗議活動がクラッシュしたので日本でも大きく報道されたようです。大学の私の身近な人たちの間でも、民主主義と感染防止についてどう考えるべきかという議論をかわすことが出てきました。たしかに、どこに行くのも証明書が必要で、それがなければ排除されるというのは強烈な風景です。特に、ナチ関連の博物館に行き、レジスタンスたちが殺された詳細な記録などに触れた後には、欧州で抗議活動が強まるのは少しわかる気もしました。政府の喧伝する恐怖によって市民たちが、マイノリティの締め出しに協力し、虐殺に加担したことは、欧州のトラウマなんでしょうね。
 私自身は、ワクチンについては肯定的で、治療薬の開発も進んでいることは素朴にとても良いと思っています。私は、研究上も医療者の倫理や政治に関わることの責任、さらに科学技術至上主義について考えることが多いのですが、コロナに関しては「人間の科学の力はすごいな」と感嘆しています。できれば、このまま科学によってコロナ渦が収束して、元の生活に最速で戻ってほしいと願ってしまいます。だからこそ、欧州出身の友人たちの懸念には耳を傾けたいと思っています。
 それはともかく、できればロックダウンは回避してほしいところ! 私の住んでいるあたりはとてもきれいで、散歩していても楽しいんですが、だからといって春頃の生活に戻りたくはありません。
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