Living Loving Leuven

溜池や ナマズ飛び込む 水の音

オーステンド(Oostend)の海岸再び

 パートナーが日本に帰国するので、早朝、ブリュッセル空港まで見送りに行きました。8時過ぎには別れてしまったので、そのまま帰ると寂しくなりそうでした。なので、思い切って私はオーステンドまで日帰りで行くことにしました。まだ、夏のベルギーの海を見ていないので!
 午前中の海は意外と空いていました。ぼんやりと海を眺めていると、突然、論文のアイデアが湧いてきたので、慌ててメモ。
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 楽しそうなカップルが多くて、平和でした。
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 前回は、海岸線をトラムで東に移動したのですが、今回はオーステンドの街中をうろうろ。わい雑な通りが多くて楽しいです。タイレストランやスーパーが多いので、移住者がたくさんいるのかな。
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 そして、とおりかかったレストランがオーセンティックなタイ料理を標榜しているので、ふらっと入ってみます。まだ準備中のようで、英語の話せないタイファミリーが掃除をしていて、困惑した顔をしています。めげずに「今日は空いてますか?座ってもいいですか?」と押し掛けると、向こうは「いいですよ」とのお返事でした。座っていると、英語の上手な白人男性がやってきてメニューをくれました。開いてびっくり。タイ料理にしてはカレー単品で20ユーロとなかなかのお値段です。不安ながらグリーンカレーのエビを、一番無難だと思い注文。これが大当たりでした。一口食べた時点で「?!?!」となりました。すっごく美味しいタイ料理だったのです。さっきの男性が「これはヨーロッパスタイルじゃないでしょ?それが自分たちにとってとても大事なんです」と自慢げに教えてくれました。ご飯も美味しくて、珍しくおかわりまでしてしまいました。
 レストラン「O'shiam Thai」はこちら。普段はランチタイムは閉めているそうで、予約が必要だそうです。今度はディナーもいいなあ。
www.osiamthai.be
 そのあと、「ジェームス・エンソー(James Ensor)の家」へ。エンソーはベルギーの有名な画家で、印象派表現主義とも重なる独特の作風を持っています。でも、彼は若い時にブリュッセルのアカデミーに行ったものの、伝統的な技術習得のコースに馴染めずドロップアウト。終生、オーステンドの母親が営む土産物屋の2階で、自由に製作活動を行いました。夏場は店の手伝いもしていたそう。私もストレートではない人生を歩んできたので、ちょっぴり親近感があります。そのあと、彼は紙幣のデザインに使われるほどの有名画家になったので、一緒にするのは悪いですが。でも、私はタナトスの漂う絵にすっかり惹きつけられてしまい、オーステンドでは一度行ってみたいと思ったのです。この施設は美術品はレプリカしかないのですが、土産物屋が保存されていて、とても楽しいです。
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 そうこうしていると、どんどん街には人が溢れてきます。ビーチも混み合って、エンソーの絵画みたいになっていました。
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 この喧騒! 4月のオーステンドとは全くの別物です。あのころ、私の孤立感を抱いた心理状態も反映して、とても寒々しく寂しい海だと思ったのですが。
namazu-2021.hatenablog.com
 みんな、この喧騒を思い出すためにも春の海に行くのでしょうか。これからベルギーは暗く陰鬱な冬に向かっていきます。でも、冬の海こそがエンソーが好んで描いた風景でもあります。寒くなったら、またきてみようかと思います。
 遠く霞むような風景が美しかったです。
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