Living Loving Leuven

溜池や ナマズ飛び込む 水の音

もし、語学学校で差別されると感じたら……?

 せっかくなので、「語学学校で差別されると感じたら何をすればいいのか」を簡単にまとめておきます。私は日本では、何度か差別事件でハラスメント案件に、大なり小なり関わったことがあるので、それを参考にしています。
 差別・ハラスメントに抗議するには、次の段階があります。

(1) 当人に対する抗議
(2) 当人が所属する組織への抗議
(3) 当人が所属する組織を、管轄する組織への抗議
(4) 民事裁判
(5) 国家賠償裁判

 私が実際に、語学学校で起きた件で言えば、(1)と(2)を行いました。(1)は直接、差別発言をしたと思われる先生への抗議です。(2)は語学学校の事務室に連絡し、施設長とオンラインを面談をして抗議しました。私の場合は、(1)と(2)で陳謝してもらえたので、それで終結としました。もし、これで納得のいく対応がなければ、(3)の社会包摂プログラムを提供しているルーヴェン市の部局に連絡するつもりでした。(4)は慰謝料などを求める裁判、(5)は国家による差別防止が有効に働いていないとして訴える裁判です。(4)以上は、法律の専門家と相談して実行するかどうか判断する必要があります。とても大変ですが、私のような軽微なケースではなく、もっと深刻な差別やハラスメントであれば、十分にあり得ます。逆に言えば、(1)-(3)は個人でも可能です。ただ、「どこまでやるのか」は自分の中でざっくり決めておいた方がいいと思います。
 次に、こちらから「何を要求するか」を考えます。私の場合は「謝罪」と「再発防止策」でした。その両方が(2)の時点で提示されたので、私は納得して終結としました。だいたい、どんなに謝ってもらおうと、何をしてもらおうと、こういう問題は気が晴れないものです。なので自分の「満足感」に焦点を当てると、交渉は泥沼化し、双方が消耗します。具体的で目に見える相手の行動を基準に、要求を考えた方がスムーズにことが運ぶと思います。また、金銭が絡むと先方の態度は硬化します。なので、授業料の返還や慰謝料等を請求する場合は、最初から(4)の民事裁判も視野に入れて、法律の専門家に相談したほうが良いです。
 さらに、大事なのは客観的証拠を残すことです。一番簡単なのは日記を書くことです。私はこのブログに切々と自分の感情も込みで記録していますが、これはあとから自分が「何を感じていたのか」を振り返るときにとても便利です。人間は、時間と共に「自分の感覚がどうであったのか」を忘れますし、自分自身の記憶も「本当にそう思っていたのか」が不安になるものです。もちろん、こうした公開されたブログよりも、ノートなどに書いた日記の方が誰にも見られない安心感があるので、そのほうがいいかもしれません。また、相談機関に繋がるのも有効です。私は実は9月14日の時点で、大学の傾聴サービスへ教員からのステロタイプ化の件で悩んでいるという相談をしています。相談期間は必ず記録を残します。ですから、ここの相談記録は急に私が差別だと言い出したわけではなく、以前から心理的葛藤を抱いていたという客観的な証拠になります。
namazu-2021.hatenablog.com
 最後に、こうした抗議は、あくまでも「抗議」でしかなく、自分が受けた「嫌な気持ち」や「傷つき」がなくなるものではありません。現に私は、抗議して要求が通ったにもかかわらず、とてもしんどい気持ちです。それは、どんな裁判で勝訴をかちとった人でも言えることです。抗議をしてもしなくても、こういうことが起きたら疲れるし、傷つくし、落ち込むものです。なので、抗議をしたほうがいいというものでもありません。上のTipsはもし、抗議をする場合、どうすれば有利にことを運べるかというハウツーですが、やらなくても全然いいのです。私はもともと、こういうふうに異議申し立てをして、次に嫌な思いをする人を減らせたと感じることで、自己評価が上がるタイプなのでやりましたが、気が進まなければ、そのまま「場を離れる」「黙って時が過ぎるのを待つ」ほうがいい場合もあります。どうか無理せず。