Living Loving Leuven

溜池や ナマズ飛び込む 水の音

進路相談を受ける

 日本の大学院生から、研究方法や進路について相談を受けていました。直接の後輩ではないのですが、何度か見知った関係で、久しぶりにオンラインでお話ししました。主たる悩みは「このまま研究を続けていってどうするのか?」という漠然とした不安への対処でしょうか。私自身、不安定な身分ですからはたして答えて良いものかと迷いながら率直なお話をしていました。
 今のアカデミアの状況は良いとは言えず、私も学振研究員の任期が終われば無職に戻ります。三年間、結果を出しても出さなくても、次のステップのチャンスは自分で探すしかなく、失業保険も出ません。安全策を取るならば、来年の3月で帰国して、次のポストを探して日本で就職活動をしたほうが無難です。でも、いま、こちらで研究成果が続々と上がっていることを考えると、私はもう少し滞在を伸ばしたいと考えて、今はビザの延長の手続きに入っています。(先週、無事に私の延長手続きの書類が教授会に送られることになりました!)つまり、私は研究に自分の人生を賭けたことになります。
 これが良い選択になるかどうかは全くわかりません。ただ、私はいま、研究が楽しくて、どんどん新しいアイデアが出てきてそれを形にするために、論文を書いて学会報告をしていることをお話ししました。そこが一番良かったみたいです。
 たしかに、日本にいるときは研究を「苦行」のように捉えている人たちもたくさんいました。就職や予算採りのために、求められた業績を追われながら出すような生活をしなければならないような……もちろん、研究もアカデミアで評価を得るためには、必要な手続きやテーマ設定はありますから、「やりたいことをやる」だけではうまくいかないこともあります。それでも、「成果を出す=苦しいこと」ではなく、楽しいことだと今の私は思えています。未来はわからないけど、現在が充実していることに集中して、滞在中に研究をできる限り発展させていきたいです。