Living Loving Leuven

溜池や ナマズ飛び込む 水の音

ゆるい一日

 今日は本来ならオランダ語学校の授業があるのですが、もともと、研究関係のオンラインイベントに出る予定があったので、あらかじめ欠席を申告していました。偶然なんですが、いま、学校に行く元気はないので幸運でした。
 昨日は、趣味のお友だちに優しい言葉をかけてもらったら涙ぐんでしまったし、お茶を飲んだらため息をついてしまったし、なにかとしんどい一日でした。
 ちなみに、飲んでたのはロンネフェルトのお茶です。ドイツの有名な紅茶ブランドで、ベルギー内にショップがないので、アーヘンに行った時にお土産に買ってきました。チョコも買ったけど美味しかったなあ。
www.ottiboeki.jp
 日本のアマゾンにも多少、在庫があるようです。日本で買うと、お値段がお高めなのがネックですが……

 急に寒くなって、気持ちが落ちてしまったのもあるのかも。ヨーロッパはいつもガクッと冷え込んで、突然の寒さにノックダウンさせられます。明日からもう10月ですんもんねえ。ついに本格的に秋到来。日もどんどん短くなり、朝も真っ暗で日が落ちるのも早いです。
 そして雨……。これが厄介。私のお家は駅まで歩いて40分程度かかります。バスがあるのだけれど、雨が降ると外に出るのが億劫になりがち。でも、こもってしまうとよくない気がしますね。
 週末も家にいようか、外に出ようか迷い気味。先週は、アーヘンに行ったのが楽しくて「来週はリエージュまで足を伸ばそうかな!」などと思っていましたが、天気予報を見ると雨。気分も盛り下がっているので悩みます。でも、思い切って出てしまった方がいいのかなあ。
 今日の夕方も鬱々していたけれど、思い切って近所のカルフールに出かけたら月末のセールで、ワインを買って、おつまみを物色していたらちょびっと楽しくなったりはしたのですよ。今晩の夕飯は安売りしていたソーセージとビールの予定。
 疲れが溜まっているのもあるので、無理はしすぎず……でも、楽しく過ごせる週末になりますように!

マイクロアグレッション

 ほぼ眠れなかったのですが、朝5時から、日本の某社とのオンラインのミーティングがあったので出席しました。私がレクチャーをする予定になっていて、こちらもいろいろと気を遣うことがありましたが、なんとか無事に終わり。ソファに倒れ込むと「今日はもう何もできないなあ」と天井を見上げます。
 幸運なことにパートナーが休みをとっていると知っていたので、電話をつなぎました。前日の語学学校での教師の発言について話すと「その発言はアカンでしょ」とキッパリ言われます。それでやっとホッとしました。自分でも、「あれは差別では」と思ってからも、「騒ぎすぎかなあ」とか「こっちではこの程度のことは当たり前だから、慣れないといけないのかな」などと考えては、憂鬱になっていました。聞いてもらえてだいぶん楽になりました。
 そして、先生からの謝罪のメールが来ました。「あなたが正しいし、ステロタイプ化してごめんなさい。こんなことはもう二度と起こりません」とのことでした。アンビバレンツな気持ちに。一つ目は、先生がすぐに自分の問題を認めて、謝罪してくれたのでほっとしたというのがあります。半分くらい「スルーか、反論かもしれない」と思っていました。なので、それは良かったです。二つ目は、「だからと言って、割り切れるような気分ではないなあ」と……。正直、もう授業には出たくないし、オランダ語学習のモチベーションも下がりました。教科書も見たくないです。ただ、今は単にショック状態で、時間と共に気分も変わるようにも思います。とりあえず、週末まで学校は休みなので、様子をみて、それでも気持ちが切り替わらなかったら、残念だけど履修は中止しようと思います。
 ちなみに、事務室からは返信はありませんでした。当事者間で解決してくれ、ということでしょうか。せめて返信くらいして欲しいけれど、かれらには期待はできないのかもしれません。
 なんだかとっても、悔しい気持ちです。今日届いたスーパーの会員カードのお得な割引だって、少しはオランダ語で読めるようになったんですよ!たった1ヶ月で大進歩だし、3ヶ月やればもっともっとよくなるはず。ここで止めるのはもったいない。のですが、今は「もう嫌だ」という気分でぐったりしています。
 こういう本当に小さな「悪意のない言葉」の積み重ねによる差別を、「マイクロアグレッション」と言うそうです。日本にいるときに、知り合いが教えてくれたのを思い出しました。こんなふうに説明されています。

 マイクロアグレッションは、差別の一種である。しかしやっかいなのは、発言をした相手が「差別している」という意識がないことも多いということだ。些細な日常の会話であり、むしろ本人なりに褒めたつもりなのかもしれない。

 こうした隠れた攻撃性に気付き、声をあげた人が「考えすぎだ」「スルーすればいい」「そんなに気に入らないなら出ていけ」などと非難を浴びることさえある。特定の人々が嫌い!というわかりやすい差別ではなく、見る人によっては差別に見えない細かなやりとりだからこそ、多数派である人々は無視できる、という不公平な構造があるのがマイクロアグレッションである。何年たっても無意識な差別を受けて、「自分はアウトサイダーである」と思わされることは、自尊心が喪失し、うつ、気力の低下、仕事の生産性などさまざまな悪影響につながる。

ideasforgood.jp
 私が今回、ダメージを受けたのはまさにこのマイクロアグレッションです。私自身も、やっぱり「これくらいのことで?」と思ってしまうし、スルーすればそのまま上手くいったとすら考えてしまいます。でも、こういうの、精神的には応えるんですね。
 そのあと、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』2が出ていたのでそれをKindleで買って読みました。英国のブライトンで暮らすみかこさんと配偶者、息子を中心にした家族の話です。経済格差や家庭環境の困難の中で子どもが成長していく様子を描きながら、英国社会の問題を丁寧に掘り下げています。すごく良いエピソードもあって涙ぐみながら読みました。

 でも、彼女の配偶者や息子は、人種や民族の「ジョーク」はあるものとして笑い飛ばして生きていることが強調されていて、今の私には「うーん」となっていました。ブログなどを検索しても、日本からヨーロッパに移住した人たちの中には、こうしたジョークを笑えるようになるのが適応だと考え、日本人ももっと寛容になって笑うべきだという論調で主張をする人もいます。でも、私はそうは思えませんでした。それって、セクハラされている女性に「軽くあしらうのが大人の女の振る舞い」と同じだと私は思います。
 そもそも、私はセクハラや性差別発言でも、若い時から「あしらう」ということをしたことはなく、毎回、めちゃくちゃ深く傷つき、恨み、決して許したことはありませんでした。今でこそ、ずいぶん日本でもセクハラや性差別発言は咎められるようになりましたが、私が20歳前後の時には、抗議しても呆れられたりバカにされたりしたものです。でも、私は嫌だと思う気持ちに蓋をしたことはありません。それは、こうした人種や民族のジョークでもあまり変わりません。もちろん、私のいない場でジョークを楽しむ人たちをどうこう言うつもりはありませんが、私はこれからも自分に向けられたジョークは場合は受け入れないのだろうと思います。

差別事件発生?!

 ついにオランダ語学校の1回目の試験を迎えたのですが、予想外にしんどいできごとが起きてしまいました。もちろん、試験のでき(特にリスニング!)はボロボロで、がっくりきたのはあります。でもまあ、それは仕方ありません。問題は、先生との関係で私が「もしかしたら差別されてる?」と思ったことです。
 私の先生はベテランの女性で、とても学生のことを気遣っていますし、楽しく授業を進めています。私は彼女は非常に熱心な教師なので尊敬しているくらいです。授業の進め方で勉強になることもあります。ただ、彼女は、いつも私に対して「ストレスを感じてるんじゃない? あなたは日本人だものね」と聞いてくるのが、少し困惑することでした。
 確かに、一週目は私は緊張していたし、全くオランダ語がわからず、とてもストレスを抱えていました。なので、彼女が気遣ってくれるのは嬉しく思っていました。ただ、二週目、三週目と進んでいくと、私の方も慣れてきます。そもそも私は「萎縮する」という言葉と無縁の性格ですし、周りと比べることもあまりしません。大学院時代に、指導教員にもう少し周りと比べて自分を追い込め、と叱られたくらいです。(指導教員には「嫌です、他人と比べる必要はなく、私は私です」と言い返しましたが)ただ、本当にリスニングの能力が低いので、「全くわからんな」と思って教室で座っていることもあります。わかったふりをするという習慣もないので「さっぱりだね」と遠くを見ています。そうすると「ストレスを感じているんじゃない? あなたは日本人だもの、でも心配しなくていいのよ」と彼女は言います。「いや、全然ストレスはないです。でも、答えはわかりません」と私は返します。この不毛なやりとりが、この1ヶ月、延々と続いていました。
 私が気にしなければいいのだけれど、彼女が「あなたは日本人だから」と繰り返すことに、「それ、どうよ?」と思っていたことは確かです。彼女はどちらかというと私のことを気に入っていて、朝は「こんにちわ」と日本語で挨拶をしてきます。私はそれも不自然に感じていて、彼女は他の学生には「あなたはXX人だから」とか、その国の言葉で挨拶はしません。特別扱いされて嬉しい学生もいるのかもしれませんが、私は「先生のお気に入り」になることに全く興味がないので、「ああ、めんどうくさい」と思っていました。(ちなみに彼女が知っているのは「こんにちは」と「寿司」だけです。本気で日本に興味があるわけではありません)
 そして、事件が起きたのは、面接試験の直前のことです。この学校の試験は、ペーパー試験と面接試験に分かれていています。面接試験では、学生同士が指定された時点に教室によばれ、ペアで会話することを求められます。私はイランから来ている女子学生とペアになりました。時間になって教室に入ろうとすると、先生がやってきて、私に「あなたはストレスを感じてる?」といつもの質問をしました。私はそのとき、もう前半のペーパー試験で疲れていて気もそぞろだったのですが、一応「ええ、少し」と答えました。すると、彼女はこう言いました。
「もちろん、あなたはストレスを感じている。だって、あなたは日本人だもの。もし緊張していないなら、私はあなたが薬を使っていることを疑う」
 私は一瞬、「は?」と硬直しました。薬を使う……? それって覚醒剤のこと? それともスマートドラッグ? もしくは、私が情緒に問題があって処方薬を飲んでいると? 一瞬で頭のなかを巡りました。
「この発言、アウトじゃない?」
 彼女が本気で言っているのではなく、ジョークで言ったとはわかっています。でも、一線を越えているのでは?と思いました。もう少し、率直に言うと、「あ、私、舐められてるんだな」と感じました。
 でも、面接試験の直前で、私はすぐにオランダ語の会話をしなければなりませんでした。彼女は終始、私とペアのイランからの女子学生に親切でした。でも、緊張していたのは私ではなく、ペアの女子学生の方です。彼女は私よりはるかに良く、リスニングもスピーキングもできていましたが、声は震えていました。私はその間も、「なぜ、彼女より私がストレスについて心配されなければならないのか」と頭のなかでチラチラとよぎります。ただ、それは顔には出さず、試験は乗り切れました。
 試験の後、私は「これは、このままにしておくことはできない」と思いました。そして、大学の図書館に行き、先生に対してメールを書きました。できるだけやんわりと、攻撃的にならないように、彼女にお礼を述べながら、私は「ストレスを感じるかどうかは、国籍ではなく、本人の性格や環境で決まります」と書きました。そして、ヨーロッパから来た人たちの多くが、日本で日本語を話すときにはストレスを感じるけれど、それはかれらがマイノリティであるからだと言いました。つまり、私がストレスを感じるとすれば「日本人だから」ではなく、「言語マイノリティだから」が正しいのだと伝えました。何度も修正して、問題がないか確認してから、私はメールを送りました。それで「気が済んだ」とそのときは思いました。
 でも用事を済ませて家に歩いて帰ってきながら、急に「あ、これって差別なんだ」と気付きました。なぜなら、私が彼女に対してやったことは、全て日本でセクハラを受けたときに年上男性に対して行なってきたことだからです。相手を怒らせないように気遣いながら、感謝を伝えつつ、問題があったことを慎重に指摘する。私の立場が弱いからです。さらに、ずっと、「あなたは日本人だからストレスに弱い」と言われてきたことは、紳士ヅラをした男性の「あなたは女の子だから弱い」という言葉と全く同じでした。かれらは自分のターゲットを決めて、勝手に像を造り上げ、それに当てはめて私を人形のように扱い、従属させようとします。だから、私がストレスを感じているかどうかの事実に関係なく、「日本人」の紙芝居を私は演じさせられていました。それに気づいたとき、感じたのは恥辱です。いつの間にか弱い立場に置かれ、一方的に庇護対象にされたことに対する屈辱に加えて、それに気づけなかった自分の甘さを恥じました。「ああ、ベルギーにきたって、やられることは一緒なんだ」という諦めと怒りと、失望が襲ってきます。
 もちろん、全ての人がこういうふうに怒り狂うわけではありません。きっと、日本人学生として彼女に庇護対象にされることが心地よいと感じる人もいるでしょう。また「これくらいのことで」と思う人もいるでしょう。私はそういう感じ方を悪いとは思いません。その人はその人、私は私。私は嫌だったし、それを言う機会が与えられなかったことに、感情が爆発しました。私は事務室のスタッフにもメールを送り、この教員との関係に問題があり、ひとりでは抱えきれないという連絡をしました。
 私はこの夜、ほとんど眠れませんでした。何度もうとうとしては、災害に巻き込まれるという夢を見ました。彼女の一件が、私が日本で耐えてきたセクハラと重なって、よみがってきてつらかったのだと思います。しんどい夜でした。

進路相談を受ける

 日本の大学院生から、研究方法や進路について相談を受けていました。直接の後輩ではないのですが、何度か見知った関係で、久しぶりにオンラインでお話ししました。主たる悩みは「このまま研究を続けていってどうするのか?」という漠然とした不安への対処でしょうか。私自身、不安定な身分ですからはたして答えて良いものかと迷いながら率直なお話をしていました。
 今のアカデミアの状況は良いとは言えず、私も学振研究員の任期が終われば無職に戻ります。三年間、結果を出しても出さなくても、次のステップのチャンスは自分で探すしかなく、失業保険も出ません。安全策を取るならば、来年の3月で帰国して、次のポストを探して日本で就職活動をしたほうが無難です。でも、いま、こちらで研究成果が続々と上がっていることを考えると、私はもう少し滞在を伸ばしたいと考えて、今はビザの延長の手続きに入っています。(先週、無事に私の延長手続きの書類が教授会に送られることになりました!)つまり、私は研究に自分の人生を賭けたことになります。
 これが良い選択になるかどうかは全くわかりません。ただ、私はいま、研究が楽しくて、どんどん新しいアイデアが出てきてそれを形にするために、論文を書いて学会報告をしていることをお話ししました。そこが一番良かったみたいです。
 たしかに、日本にいるときは研究を「苦行」のように捉えている人たちもたくさんいました。就職や予算採りのために、求められた業績を追われながら出すような生活をしなければならないような……もちろん、研究もアカデミアで評価を得るためには、必要な手続きやテーマ設定はありますから、「やりたいことをやる」だけではうまくいかないこともあります。それでも、「成果を出す=苦しいこと」ではなく、楽しいことだと今の私は思えています。未来はわからないけど、現在が充実していることに集中して、滞在中に研究をできる限り発展させていきたいです。

アーヘン街歩き・シャルルマーニュセンター(Centre Charlemagne)

 翌日は朝はゆっくりホテルの朝ごはんを食べました。ぼんやり、ほかのお客さんを眺めていると、アーヘンに来る観光客はアクティブな人が多かったです。朝早くにチェックアウトしていく人もちらほら。ビュッフェも、何度も美味しそうなものを取りに行って、あれこれ楽しんでいました。ベルギーのゲントやブリュージュだと、のんびりソファに座って、あまり食べずにぼーっとしている人も多いので、だいぶんギャップがありました。私もつられてたくさん食べてしまった!
 特に予定もないので、街の北側をぶらぶらと散策。緑が多いので楽しいです。f:id:namazu_2021:20210928212515j:plain
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 こんなふうに野っぱらに座って本を読んでいる人がいるのは、ベルギーでもよく見かけます。私もやってみたいんだけど、せっかちなので、ゆっくり読書できたことはありません。
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 なんてことない風景を眺めて市街地を歩きます。
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 午後からは、シャルルマーニュセンターへ。ここは、アーヘンの街の歴史をコンパクトに学べる施設です。オーディオガイドがあるので、勉強になりました。古代から温泉が湧いていて観光地だった地域で、カール大帝の威光もあり、中世はとても華やかな街だったようです。しかし、30年戦争でぼろぼろになったあと、17世紀には大火事で街はボロボロになります。しかし、カソリック国の援助を受けて温泉地として復興します。このあたり、神戸生まれの私にはグッときました。その後、フランス革命がおきますが、街の人たちは保守的であまり反応しなかったようです。しかし、ナポレオンが皇帝になると「カール大帝の再来」と大歓迎します。そこから産業発展のモデル都市となり、経済的にも豊かな時代が続きます。ベルギーとのほぼ国境に位置するので、WW1,2では最前線の戦場となりました。終戦直前に、米国の占領下におかれ、民主化のモデル都市となります。めくるめく歴史のある地域のようでした。
www.aachen-tourismus.de
 勉強した後は、ミュージアム・カフェでアップルケーキ。これがまた美味しくて……!どっしりと大きいケーキですが、大半はりんごの甘煮で、クリームはふんわりと軽いのです。そして、お手頃価格。最高では?
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 私にとっては、「温泉があるらしい」というだけでやってきた地域なのですが、すっかり興味が出てしまいました。冬に温泉が再開したらまた来たいです。素晴らしい美術館もあるらしいので、これから探索が楽しみな街です。

アーヘン(Aachen)の大聖堂

 久しぶりに国境を越える旅! ドイツのアーヘンに一泊二日で行ってきました。と言っても、ルーヴェンの駅から1時間ほどで行ける近場です。本当はアーヘンの温泉に行きたかったのですが、まだコロナの影響で閉まっているようです。冬にはオープンするのかなあ。でも、すっかりアーヘンに行く気分になっていたので、早朝に出発です。
 初めての街はいつも緊張します。ドイツのバスの乗り方もよくわからないし、朝は曇っていたし、どことなく「ここは危険なのでは?」と不安になりながらウロウロ。午前中なのにお腹が空いたので、カフェでブランチをすることにしました。
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 すごく素敵なカフェで、店員さんは英語が苦手な人が多いですが、とても親切でした。さっそく、ドイツ名物(?)のベーグルサンドを注文します。私がドイツ語がさっぱりできないので、「なにかの肉が挟んであるらしい」ことしか情報がなかったのですが、生ハムでした! そしてフィルターコーヒー。とても美味しかった〜。
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 居心地がよくて、近所にあったら通ったと思います。晴れてたのでテラスにしましたが、店内も素敵な内装でした。友達とだらだら何時間も喋りたいカフェ。ケーキも美味しそうでした。
baristinho.de
 午後からはアーヘンの大聖堂へ。ここは、8世紀のカロリング朝時代にカール大帝が建設したそう。なにせ、カール大帝はアーヘンの温泉が大好きで、宮殿にも大浴場を設置したらしいです。残念ながら残っているのは聖堂のみですが、とても美しいです。(内装は19世紀に改修されたものです)
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 観光案内所で、45分のガイドツアーがあって、一般客が立ち入り禁止の場所にも入れると聞いて参加しました。美しいステンドグラスを見たり、歴史的経緯の解説を聞いたりしました。アーヘンの街は、カール大帝が亡くなった街で、棺もおさめられています。10世紀以降は、アーヘンは、「カール大帝の特許状」により、ドイツ国王の戴冠式が行われるようになりました。さらに、12世紀にドイツ国王のフリードリッヒ・バルバロッサがカール大帝を列聖し、聖人として位置付けました。根拠とされたのはアーヘンの地での布教活動をし、そこで亡くなったことです。しかしながら、これは、バルバロッサの政治的意図に基づくプロパガンダであったというのが、ガイドさんの解説でした。面白いけど、英語でついていくのは四苦八苦です。なんにせよ、アーヘンは今はドイツの端っこにある地方都市ですが、かつては首都であり、ドイツの宗教的なシンボルであったようです。*1
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 12世紀からは7年に一度、四大聖遺物の展示が行われ、アーヘンには巡礼者が溢れたそうです。今もやっているらしいです。宝物殿もあって、そちらにも聖遺物「カール大帝の頭蓋骨」「聖母マリアのベルト」「キリストを打った鞭」などがありました。当時は鏡に聖遺物を映して持って帰るのが流行したそうで、今風に言うとSNSにアップするようなものだったらしいです。「聖堂見学→宝物殿→ガイドツアー」をめぐると、午後いっぱい費やしてしまいました。宝物殿はオーディオガイドが充実していて、見応えがあります。
 夜は楽しみにしていた西安食堂でビャンビャン麺。これを食べるために、アーヘンに来たというのも過言ではありません。本当に楽しみにしていました。これまた英語が通じませんが、身振りで食べたいものを伝えて、青島ビール! ベルギービールも美味しいですが、たまに、キンキンに冷えた青島ビールが飲みたくなりますね。ずるずると麺をすすっていい気分。ニンニクのパンチが効いていて「これが食べたかった〜」となりました。
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xian-kuche.business.site
 少し早い時間だったし、ちょっと飲み足りなかったので、ホテルに帰ってラウンジでいっぱい。ドイツのミラベルというすもものお酒にしてみたけど、とても美味しい! アルコール度数45度くらいで、イタリアのグラッパに似ています。一口目はアルコールの強さに舌がしびれますが、だんだんと口の中に香りが立つようになり、甘味も感じるようになっていきます。塩辛いピーナツとの相性が最高でした。ちなみに、これ、4.5ユーロぽっきりで、チャージもありませんでした。アーヘン、食べ物は割安で本当に良い街です。
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*1:こちらの論文に詳しいみたいです。→ https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/3272/

語学学校&ビザの延長

 オランダ語の学校は、時計の読み方をやりました。私は得意で満面の笑みでお答えしました。子どもの頃から算数は大の苦手なのですが、日本の数に対して徹底して正確さを求める文化のおかげか、ぱっと飲み込んでできるようになりました。たとえば、「7時35分」は「5 over harf 8」と表現するのですが、わかりますか? 「8時から半時間前の5分後です」となります。めんどくさいけど、法則さえ覚えてしまえば簡単! リスニングで音を聞き分けるよりずっと簡単です。みんながゲンナリした顔をするなか、嬉しそうに問題を解きました。
 それに対して、私が苦しむのは単語の聞き取りです。いまだに数字も怪しい。さらに、似たような「verjaardag(生まれる)」「vire(祝う)」「vertrek(出発する)」「vertraging(遅延)」などで大混乱。全部vとrに振り回されています。もうちょっと慣れたいのですが……
 これは先生が教えてくれた、オランダ語の曲です。パリでフレンチな女の子に出会った兄ちゃんが「僕とオランダ語で話してくれよ〜」と歌っています。先生はできるだけ楽しんで勉強してほしいという方針で、毎時間、YouTubeでいろんな曲をかけてくれます。
www.youtube.com
 来週は初めての試験! 私は試験は苦手なので、今からソワソワしています。先生に「教科書からだけでますか? それとも補助教材からも?」と聞くと、「全部勉強してね。私は教科書は実践的ではないし、文法から教えて勉強するのはいいとは思わない。あなたは賢いから、補助教材と教科書、併せてやるのよ」と言われました。が、注意深く聞いていると試験は教科書に絞るみたいですね。とりあえず、教科書の勉強をしておけばいいのかな。私はいい点を取る必要はないので、最低限クリアするために、来週までに習った内容はさらっておこうと思います。
 そして、明日は臨時休講。明日から日曜日まで、ルーヴェンでは自転車レースのW杯があって、街中が閉鎖されるそうです。自転車も入れなくなるので、登校できない学生が多いため休みになりました。大学も休みになってしまいました。日曜日には冷やかしに見に行ってもいいかなあ、などと思っています。
 そのうえ、金曜日はバス会社のデモで、さらに交通機関は運休かも?! 私は国境を越えてアーヘンに遊びに行くつもりなんですが、無事に行き帰りできることやら……。
 懸念事項だったビザの延長については、リサーチプロポーザルを書いて提出したところ、受け入れ教員たちは「エクセレント!」という評価をくれたため、やっと研究科の会議にかかります。周りには「まだ9月だから、半年もあるし大丈夫でしょ?」と言われるんですが、こればっかりは不安で、不安で。
 やっと夏休みも終わって、いろんなことが前に進み始めました。日本からも連絡が多くて、ミーティングがどんどん入ってきています。お声かけいただけるのはありがたい話ですが、ちょっと疲れ気味でもあります。